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文殊院の権造・永平寺代参旅

権造強盗団親分を舎弟にする

武州野原の門寺院一家を出てから権造の旅は、何事もなく順調に東海道を進み今は、鎌倉八幡宮の前に立っていた。

旅の途中の街道では粋な女がすれ違えば振り返り、綺麗な女が前を行けば、近くまで急いで歩いて行き直ぐ後ろを歩いてゆくのだから、鎌倉に着いたのは日昏になってしまった。

(ワシの家も元を正せば武門の出である・・・しかも源氏だ。それを承知で鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮をお参りをしなければ、浅草の吉原方品川の「秋葉楼」まで続いた「ツキ」が逃げてしまう。これからもツキが逃げない様に八幡宮にお参りだ・・・・)

権造が八幡宮の長い階段の下から、八幡宮を見上げると階段の途中に大きな銀杏が若葉を茂らせて階段を覆っていた。

粋を切らしながら、権造が銀杏の大樹の下に来たときである。ぱらぱらと人相風体が悪いゴロツキが、五人出てきて権造を取り囲んだ。

「持っている物を全部置いてゆけ、俺たちは鎌倉を根城にするゴロツキで、夜ここを通る馬鹿から、通行税を戴いているのだ」

それを聞いた権造は驚いた。怖くて驚いたのではなく、山賊やゴロツキ以上、怖い顔をしている自分に対して「持っている物を全部置いてゆけ」はねーだろうと思ったからである。それにこの場所は、源氏の流れを汲むものには、忘れてはならない場所である。紛れも無く、この大銀杏の下で、鎌倉三代将軍実朝が、甥の公暁に切り殺された場所でもあるのだ。それを考えると権造の体の奥から一気に怒りが湧いてきた。

(この場所は源氏の聖地だ!この野郎たちは、源氏をなめているのじゃねーか。ゆるせねー)

興里入道鍛えし古鉄を抜くとゴロツキの一人の首をいきなり刎ねてしまった、

ゴロンと階段の上に首が落ちると勢いが付いて、首はごろごろ階段を転げ落ちた。

魂消たのはゴロツキたちである。人相は悪いし腕は立つ、残った四人はお互いに顔を見合わせた。

(兄弟。この野郎は何者なんだ。人相は悪いし、腕は立つ、只者ではねーぞ、如何する・・・)

(やばいぜ。こんな野郎を相手に、したんじゃ幾つ首があっても、たりねーよ。謝ってしまおう・・・)

ゴロツキ達の無言の意思は疎通した。

「如何したんだ。ゴロツキドモよ。掛って来い」

権造は長脇差を正眼に構えた。眼は戦闘モードに入っていて、上目三白眼になっていて、何処を見ているか、ゴロツキ達には想像が付かなかっただけに、気持ちが悪かった。

持っている槍や刀・ドスなどの武器を放り投げるとゴロツキ達は、権造の下の階段へ降り、土下座をした。

「ご勘弁を願います。つい出来心でこんな事をしてしまいました。親分お許しを願います」

正眼に構えた刀を下ろし鞘にしまうと権造は、にっこり薄ら笑いを浮かべゴロツキ達を唸りつけた。

「テメーらが、何処でタタキ(ごうとう)をしようが、俺には関係がねーが、この場所は、絶対に止めろ。この大銀杏の階段は、我ら源氏一門の聖地の中の聖地である。況して、この辺りを根城にするなんて、思っても駄目だ。

「はっーはっーはっー、親分良く判りました」

「判ればいいぜ。その首がねー野郎の首を拾ってきて、体と一諸に山の中にでも埋めてやれ」

この権造の一言でゴロツキ達は権造が、人相は悪いが腕は立ち、情け深い人だと思った。

「ありがたいことで。この親分は情がある人だ。親分、今夜はアシ達のアジとじゃねー棲家へ泊まってくださいな」

「良いよ。当然女付だろう。ワシは旅に出てからこの方、女無しで寝たことがねーよ。旅から帰えりゃ、ちっとばかり、真面目にしなくてはならねーのが、ワシ達普通に生きている者だ。だが、「三里はなれりゃ旅の空」と昔から言うじゃねーか、今度の度じゃあ、眼一杯やりてー事をやろうと思って旅に出たのさ」

「判りやんした親分。こう見えてもこの相州では「持手鯉夜」と言えば知らねー者がいねー、悪の世界の親玉だ。大事な客人が、俺の棲家へお泊りになってくれると言うのに、マブイ(きれい)女の一人や二人宿場の女郎を選んで連れてくること位しますわい」

「鯉夜となーオメーは話が直ぐに判るいい男だ。どうだ、ワシの舎弟にしてやろうか」

権造は盗賊の親分になる心算はない。鯉夜が直ぐに権造の為に、女を連れてくるといった事が、甚く気に入ったのである。

「ありがてー、こんなに元相(にんそう)が悪くて腕が立つ兄貴がいたら、俺の勢力は関八州に鳴り響く。親分、俺を舎弟にしてくんない」

「良いだろう。オメーもワシと同じで人相が悪い。今まで苦労をしただろう・・・・人相が悪い者は、悪いものの心がヨーク判る。文殊院一家の権造只今から、ワシが七分鯉夜が三分の兄弟分になった。しち面倒くさい儀式は無しだ」

持手鯉夜は、七分三分は親分子分の盃ではないかと考えたが、この件で物を申したらタタッキラレルと考えて、本当は親分子分盃・実際は兄弟盃の兄弟分になった。

「鯉夜オメーの棲家とやらへ、急いでゆこじゃねーか、ほれ見ろお月さんが顔を出している」

鶴ヶ岡八幡宮が鎮座されている森の上に、権造の顔の様に、鎌の月が出ていた。鯉夜は子分らしきものへ耳打ちをした。

「宿場へ行き「条北屋」の番頭に言って、政子や大姫奴たち十人ばかり、連れて来い。大至急だ」

「へいっ、直ぐに言って連れてまいりますぜ。親分」

鯉夜に案内された鯉夜達の住処は、元武家屋敷ではないかと思う程、広大な敷地内に建てられていた。

(こいつ等、いい仕事しているね・・・・)

と思った自分を「何でも鑑定団」で、詐欺軍団頭の中島誠之助じゃねーかと権造は思った。

通された部屋に入って権造は驚いた。部屋はもとより、置物から掛け物までギンギラギンに、さりげなく処狭しと飾り付けている。

「鯉夜、オメーいい品物を飾っているなー見事なものだぜー」

「兄貴。デカイ声ではいえねーが、全部タタキ(ごうとう)で掻っ攫って来た物ばかりだよ。兄貴が、気に入った物があるなら、好きな物をお贈りいたしやす」

権造は壁にかけてある「喜多川歌麿」作の男女が交合しているのを盗人が、明かりを当てて盗み見をしている肉筆が、なんとしても欲しかった。

(すげーぞ。あの部分が、あんなに大きくはっきりと書いてある。これは版画ではなく肉筆だ。欲しいなー)

*権造の眼が喜多川歌麿の絵に向いているのを、舎弟になった持手鯉夜は見ていた。

傍にいる人間が今何を考えているのを見抜く洞察力を備えているのも、強盗団でも人の上に立つ者の条件である。

「兄貴。明日帰るときに、持てるだけ骨董品は持たせますぜ。それから、そこの壁に架けてある喜多川歌麿の絵は邪魔だから、一諸に兄貴が持って言ってくれるとありがたいのですが」

権造は鯉夜が、権造の気持ちを知っていながら、知らない振りをして、権造の気持ちに負担がかからないように、言ったのを聞き、この男は只者ではねーと思った。

「鯉夜、オメーの気持ちはありがてーが、ワシは財宝などというものには興味がねーよ。そこへ架けてある歌麿の絵を一枚くんない」

無欲、強盗団を率いて悪の限りを尽くし、金銀財宝を金持ちから、脅し取りながら、鯉夜は、権造と同じく無欲な心の持ち主であった。

(悪業を重ねながら金銀財宝に、興味を示さない人は見た事がねー、文殊院の権造。*俺は偉い人の舎弟になったものだ・・・)

そこへ鎌倉宿から、綺麗どころが、十人わいわい言いながら権造と鯉夜が、話しをしている部屋に入ってきた。

鯉夜が子分に命じて、大至急部屋に酒と懐石料理が載っている膳を並べた。

席の縦には権造と鯉夜が並んで座り、あとは適当に鯉夜が座らせた。権造の傍には政子と大姫奴が付いた。

「アンタの源氏名はなんていうの?」

権造は、政子に向かって聞いた。

「わちきは「条北屋」の政子というしがない者ですよ。親分」

「なにー政子だって、オメーは、ふざけているのじゃねーか」

「本当よ。わちきが、政子では、何か都合が悪い事があるの」

権造は不思議な気持ちに捕らわれていた。23

(鎌倉・鶴ヶ丘八幡宮・大銀杏・条北屋・政子か、何の因果でこんなことに、なってしまったのだ。ワシを鎌倉時代へタイムスリップさせようと源の頼朝公が、あの世からコントロールしているな・・・)

権造は政子を今夜は、抱かないことにした。もう一人の女郎に聞いた。

「オメーはなんと言うのだ。源氏名は」                                                              

「わちきは、大姫奴よ。それが如何したの?」

「こりゃもう駄目だ、鯉夜違うマブイ女を連れて来いや」

「兄貴、政子と大姫奴が何か、粗相をいたしましたかな」

「訳は聞かねーでくれ鯉夜、少しばかり、ワシにデルカシーに触れる事があるにのだ」

「判りました。兄貴それじゃー、静香大夫は如何ですか、静香大夫は歌も旨いし踊りも上手いから如何でしょうか」

(馬鹿野郎、オメー達は歴史を知らなすぎる。尤も、強盗団へ歴史の事を話しても無理なはずだ。況して、デリカシー云々といっても言葉自体をしらねーだろう・・・)

静香御前は鎌倉時代天下を取った頼朝の弟で、義経の女である。

「気にいらねーな。オメーたちには男のデリカシーと言うものが全く判っていない」

権造は女郎を自分で選ぶことにした。右側の席の頬に傷がある野郎の傍にいる。辻ちゃんに似た可愛い子がさっきから目に付いているにである。

政子に聞いた。権造はどうもロりコイン趣味があるらしい。

「あの子の源名はなんていうのだ」

『あの子は辻奴、料理は上手そうで下手だよ。マワリ(テレビ)で料理が上手いといって番組を企画するからり料理では大一人気取りで。いけ好かないが、顔が可愛いし口も子供のようだから。にくめない女郎だよ」

もうこうなると現在も江戸時代も境界線が無く作者のも訳が判らなくなってしまっている。でもまあお聞きよ・権造さんのしっちゃか、めっちゃかの話しをマダマダ腹を抱えているフアンの気持ちに添うようにするからね!

スケールが大きい強盗団の宴会が終わりに近ずくと権造の横に来た辻奴は、権造に甘い声を出して言った。

「おじいちゃん。早く部屋に行って抱っこしてよ」

辻奴の可愛い声で甘えられた権造は、鼻にしたが三寸(十センチ)の伸びてしまい辻奴の小さなお尻をナデナデしていたが、ジュニアは上品なしていられない。近藤マッチが、ぶ魂消るくらいギンギラギンに屹立していた。ジュニアが下の方から、長い顔をデレットして呼ばれをたらしている権造に言った。

「親父。早くフトンに入ろうぜ」

「倅よ我慢しろ。我慢は人を大きくする」

「親父。俺は既に、これ以上、でかくならない位で、硬くなっているぜ」

「そうかい。その内、お前を連れて布団に入るから、黙って我慢していろ」

尤も、権造が布団に行かなくては権造のジュニアも布団には行けない。権造は自分の頭脳とジュニアが喧嘩をしている場合かと思った。

権造と強盗団との宴も酣になった所で鯉夜が子分たちに言った。

「宴酣であるが、お客人もお疲れのご様子なので、これにて宴を終わりにする。テメーら個々にいる女で好きなものがいたら誰でも好きな物を自分の部屋へ連れてゆけ」

(鯉夜は出来た男だ。このような舎弟を持ってこの権造が幸福者だ。よかった・・・)

*と権造が思ったとき自分の下半身についているジュニアが、権造に問いかけた。

「親父。これから愈々、辻ちゃんと床入りだ。今夜は何発やるんかね」

「馬鹿野郎、無粋な事を聞くのじゃねー、こういうものは、その場のムードでやるものだ。まあ、ワシとしては一応五発位はやるつもりだ。ジュニア大丈夫なんだろう。いざと言う時にジュニアが言う事を聞かないのでは、損失が大きいから、もし途中で駄目になったらオメーは破門にするからな」

「頑張ります」

相撲や野球の選手がインタビューで言うことと同じ事を言ったので、権造はワシのジュニアもボギャブラリーが、乏しいジュニアだと思いワシの体についていながらワシが普段話しをしている事を聞いていないなとがっかりした。

部屋に辻奴と一諸に入ると緋色の布団が権造のスケベ心を刺激するように厚厚と引いてあった。

「辻奴、頼みがある。台所へ行き「ニンニク」『韮』「クコ」「朝鮮人参」を持ってきてくれ」

「権造親分。ご心配に及びません。きっと親分がわちきと枕を交わすのには必要だと思ってここへ持参しました」

「偉い。辻奴お前は天下一の女郎だ」

直ぐに権造は辻奴の用意した強性剤を一気に全部水も含まず飲み込んでしまった。

ごっくん。と咽喉仏を動かして暫くするとジュニアが、天を向き青雲の志を得たような状態になった。

辻奴はジュニアを見ると小さな口をおぴろげて、パクンチョと咥えた。

こうして、権造と辻奴の夜の戦いは始まった。

描写する所は多くあるが、放送倫理委員会が、真面目ではないものの集まりなのに、真面目腐った事を言ってくるから、権造と辻奴にラブシーンは御仕舞い。

一晩に強性剤を飲んで六発もした権造は、矍鑠とした足取りで持手鯉夜の部屋に行った。鯉夜は既に、座卓の前に座っていた。

「兄貴、辻奴は如何でしたか」

「鯉夜、辻奴は天下一の女郎だ。第一心がけが良い」

「それはよござんした。俺だって兄貴に変な女郎をつけて叱られたのでは、ゴロツキをやってゆけねー」

「兎に角、鯉夜オメーには大変世話になった。この旅が三月程で終わるから、そしたら武州にワシを訪ねて来い」25

「兄貴、ありがとうござんす。このご恩生涯鯉夜は忘れません。出来の悪い舎弟でsyが今後供、宜しくお頼み申し上げます」

「鯉夜、次ぎは清水港へ行くんだ。清水の親分はどんな人だ」

「東海道で泣く子も黙るといわれた人相が兄貴より悪い、はったりが、利く親分だ」

「へーそうかい。ワシより人相が悪いとは、なんとしても会って見たい」

こうして、持手鯉夜一族が見送るなか、権造は泣く子も黙るといわれた清水次郎長の所へ向った。