007





















さくらの樹の下で

<フリーメイソン外伝>


発 見

  弘川寺前午前八時と指定したが、昨夜のセックスが今日軍資金を手に入れると思うと、何時も以上に燃え上がってしまった二人であった。目が覚めたのは七時三十分である。枕元の時計を見た沙世が、慌てて大声を出した。

「貴方。早く起きて時間に遅れるわ」

 沙世の声で目を覚ました倫一は、時計を見るとベッドから、飛び起きて洗面もしないでスーツを着だした。沙世も急いで化粧をすると自分の衣類を付けた。

(時間に間に合わないわ・・・でも桐小田土建の社長は、どうにでもなるから心配はいらないわ)

ホテルで呼んでもらったタクシーで、弘川寺の前に着くと二人の人夫を連れて桐小田土建の社長が胸を反らせて両腕を組んで難しい顔をして待っていた。

 タクシーから降りると社長が、鼻の穴を膨らませて言った。

「約束は守らにゃあかん。儂たちはもう帰るわ」

 意味ありそうな目つきで沙世の方を見つめた。

「わたしたちが、遅れたのは謝罪します。でも約束をしたことを幾ら、わたしたちが、遅れたからと言っても放棄することは許しません」

「でも・・・」

「許さないと言ったら許しません」

 社長は、その言葉を聞いて既に、マゾのスイッチが入ってしまった。元々、遅れて来たことを理由に沙世に逆らい言葉だけでも虐めて貰いたかったのである。

 沙世は、感が良く社長の気持ちをその場で見抜いてきつい言葉を吐いたのである。驚いたのが倫一である。

 沙世の顔をまじまじと見てしまった。沙世は気にすることなく又、きつい言葉を吐いた。

「ぐずぐずしないで、早く西行憤へ行くのよ」

「はい、解りました。女王じゃなくて御嬢さん」

 マゾモードに入っている社長は、沙世の事を女王様と言ってしまいそうになってしまった。

弘川寺山門の入り口右端に信長が、松永弾正久秀に命令をしてつくらせた西行の歌碑があるのを見ようともしないで森を見て木を見ない「木を見て森を見ない」の反語ではあるが、この時この二人には言えていた。

 松永弾正久秀が、信長の命により造っておいた歌碑にはこの様な歌が刻まれていた。


春風の花を散らすとみる夢は覚めても胸のさわぐものなり


歌の意味は、詠む人により解釈が異なるが、信長は、弘川寺に軍資金を隠すことについてこの歌の持つ儚さと夢にかけて軍資金はないと言い切っているのである。無いと理屈では分っていても幽かな兆しに夢を持つ者を揶揄しているのである。

欲に駆られた倫一と沙世は、この歌碑を一顧だにもしないで階段を駆け上がって西行憤を目指した。社長も人夫の全員が息を切らせて西行憤の前に来た。

「この墓の半径五メートル以内に軍資金は眠っている。沙世。メィジャーを出してみなさい」

 沙世はメィジャーを出すと一方を社長に、持たせて墓の前に立たせて、メィジャーを伸ばして五メートルの所を指先で摘まんで社長が先を持っている墓を中心にから枝をメィジャーに付けて円を描きはじめた。

「この円の中に、軍資金は有るのね」

「当然あるはずだ」

倫一は、大阪芸術大学の友人から借りてきた金属探知機を手にすると円の中の外側から調べ始めた。何分もしない内に金属探知機が反応した。

「ここかも知れない。社長掘ってみてください」

「わかったわ」

 社長は人夫に指示をして、倫一が指差したところを掘り始めた。二人の人夫が掘り始めてから沙世の口の中は乾き始めてきた。

(到頭、信長の軍資金を掘り起こす事が出来るのだわ。何とも言えない気持ちがするわ・・・)

 畳一畳位の面積を掘っていた人夫の一人が、スコップの先をかちりと音を立てさせた。

「当たった何かに当たった。この下何があるのだろう」

「もっと早く掘ってよ」

 沙世は自然に口を出した。

「これからは、余り激しく掘っては駄目だ。傷がついたらどうするのだ」

 倫一は、沙世が早く軍資金を自分の眼で見たいのは解るが学者として発掘については冷静である。唯、軍資金を早くこの眼で見たいという事は何ら沙世と変わらないのである。

「あとは僕が遣る。発掘物に傷がついては問題が起こる」

 私欲で軍資金を掘っているのに如何にも学術的根拠の元に発掘をしていると社長や人夫に見せかけているのである。

 倫一は、軽金属で出来ている発掘棒を手にすると一メート以上掘られている穴に入った。何か金属の錆びた物があるようだ。細心の注意を払って少しずつ掘っていった。どうやら鞘の無い剣のようである。倫一は、円の外側に向いている剣の刃の方向を確かめてその方向が鬼門(北東)であることを確かめると剣の柄の方向を見た。昔から方位という事には特に武将たちは気にしていた。

鬼門は、字の如く鬼の門である。中国の陰陽思想から影響を受けている日本で真似をしていたのである。漢の国以前から中国という国は、北方民族である金や遼そして満州族系の騎馬民族に都を馬に跨り蹂躙されてきた歴史がある。略奪・殺人・誘拐・何でもありの状態であった。その騎馬民族が、攻め入ってくるのが、北東からであるからして鬼門としたのである。

建造物を建てる時。重要なものを隠す時。鬼門の守りとして槍や剣を鬼門に向けて埋める慣わしが戦国時代は有った。

剣の柄が向いている方向は西行の墓の後ろ一メートルの場所である。方向を丹念に磁石で倫一は測ると確信を持った声で指示をした。

「ここに間違いがない。社長。ここを掘って戴きたい」

 社長は沙世に笑いかけると人夫に命令をした。

「早くここを掘ってくれ」

「よっしゃっ」

 人夫は、社長の命令に従い汗をかきかき倫一が指示した場所を掘り始めた。沙世は、口は乾くや胸がドキドキするはで異常な興奮に襲われていた。そんな沙世を社長は、恍惚感に酔ったような眼をしてみていた。倫一は、穴を掘っている人夫のスコップの先から目を離さなかった。全員が異常な空気を醸し出していた。

 二メートル近く掘ったところで、石櫃のような物の表面が表われた。倫一は興奮が絶調を迎えた。沙世の興奮は絶頂以上のものになった。

倫一は、穴の中に入った。人夫のスコップをもぎ取りと自分で石櫃の周囲を掘り始めた。逸る気持ちを抑えて慎重に掘らなければと思いつつ、スコップを使う手が早くなる。ぎこちないスコップの使い方である。矢張り東京大学の教授にはスコップは似合はない。今は、教授でも人間でもなく唯、欲に駆られた餓鬼のような姿をさらしている。スーツは、泥で汚れ顔は汗と泥塗れで薄く生やした髭も汗が出ているので泥が付いて都会の河川敷にブルーシートを作り生活をしている者と何ら変わりはないだらしない恰好である。自分の背丈より深く掘るとその土で穴の周囲は小山が出来て倫一ともう一人の人夫は、深い穴に入っているように沙世には見えた。

「貴方大丈夫。もう掘り出せるかしら」

「もう直ぐだ。心配しないで待っていなさい」

 沙世も夢中になっていたので社長が頻りに沙世の尻を擦っているのに気が付かなかった。それを好い事に社長は、涎を垂らしてパンツの股間を膨らませていた。そして、囁くように沙世の耳元で言った。

「女王様・・・この仕事が終わったら、この僕(しもべ)にお情けを頼んます」

 沙世の気持ちは、軍資金を掘る倫一の方ばかりに集中しているので、社長が、何を言っているのかは解らないままに返事をしてしまった。

「わかってますわ」

「おおきに・・・」

 社長は、満面に笑みを湛えて布袋様の様な顔をして、自分の御お腹をボンボンと叩いた。

「掘り起こしたぞー沙世。石櫃を上に挙げるロープを社長。投げ入れてくれないか。それに僕はもう穴から出るよ。引き上げてくれ」

 倫一が、掘り起こした穴から出ると沙世が抱き付いて来た。

「貴方ご苦労様です。土がこんなについて随分汚れてしまったのね」

 抱擁したまま、倫一の背中に着いた土くれを払い落としながら沙世は感激の涙を流してしまった。

 社長と人夫二人がロープにしばりつけた石櫃を地上に引き上げた。平らになっている場所まで運んできて来て石櫃をよく見ると錠前が掛っている。然し錠前は、半ば腐食していたので倫一が発掘棒を錠前が付けてある金具との隙間に入れると一気にこじった。鈍い音がして錠前は外れた。

 沙世も社長も人夫も全員が、息をのんで倫一が石櫃の蓋を開けるのを見守った。石櫃の大きさは縦百二十センチ横が六十センチ高さが四十五センチくらいの物で石板の合わせ目は銀であろうか、真っ黒に錆びていて所々。ロープで擦れたので銀色に輝いていた。

 社長が急に石櫃の直ぐ正面に出てきて真顔をして言った。

「この蓋は重そうだから儂が、持ち上げて開けて見まっせ」

「いやっ、僕が開けよう。発掘の責任者としての義務がある」

 倫一は、腰を低くして石櫃の蓋を手にした。そして腰に力を入れると顔を赤くして石櫃の蓋を開けた。全員が、金銀財宝が眠っていると思って注視していたが、中にあったのは、朱の漆が施されている文箱一つであった。

 慌てて倫一が文箱を手にして蓋を開けるとそこには一通の文書があった。文書には次のようなことが書かれていた。


 その方たちよくぞ此処まで辿り着いたな 天晴れである褒めて取らすぞ だが余の申す事をよく肝に銘じておけ 人間は糞小便をし 着物を着たり飯を食い疲れたら眠ればよい 欲たかりは 金銀 地位 誉 眉目麗しき女子 旨き料理を外に求めて彷徨っているが 宝とは然様なものではない 皆 己の内に掛替えの無い宝を持っているぞ お前達如何なる場合でも己が確りしていれば 外境に如何なる変化が起ころうと振り廻される事は無い 譬え 過去の煩悩の余習や六道の大罪を犯して 地獄に堕ちるべき悪業があっても それが解脱の大海となり 自己の掛替えの無い宝物に成ろうぞ


               第六天大魔王 信 長  花押


織田信長の波乱万丈の人生で学び取った生きた智慧から書かれている書付を読んで東京大学の文学部の教授だけに、直ぐに信長が言わんとしている事を理解した倫一は、頭を押さえるとそのまま膝から崩れ落ちた。

「貴方。如何したの、大丈夫なの確りして」

「どないしたんや、救急車を直ぐに呼ばにゃあかん」

「社長。早く呼んでよ」

 命令調で沙世が、社長に言うと社長は嬉しそうに微笑みながら応えた。

「はい。・・・様・・・」

 沙世には社長がどの様な気持ちでいるかが分ったが、知らない振りをして言った。

「ぐずぐずしては駄目よ。社長何をしているの携帯で呼ぶ事が出来るでしょう」

「わかってまっんがな」

 携帯電話を取り出すと社長は、一一九番を呼び出して救急車に、来てくれることを要請した。沙世は、倫一の頭を抱えて頻りに意識を取り戻すように倫一に声をかけていた。然し、この時、既に、倫一の意識は遠のいていた。脳溢血である。信長の軍資金を探すために軍資金の在り処が、メタファーされている西行の歌を解読したり、毎晩やっていた沙世とのセックスで体が限界であったのである。唯、信長の軍資金を探せるという事が倫一の体を支えていたのである。

それが、この様な結果に成ろうとは夢にも思わなかったので、信長の書き残した文書を読み信長の意図していたことが解り、落胆のあまり血圧が一気に上がったのであろう。信長の軍資金を探すと言う夢を見ることは良い事であるが、夢を現実化させようと思うと無理が祟るのは間違いがないようである。特に、東京大学の教授という地位に在りながら、学者為らざる欲望を持っては普通の人間と何ら変わりがない。知識人としての矜持は持っていなければ成らないだろう。

沙世は、倫一の体から温もりが消えて行くのを感じた。

「社長。未だなの、早く来るように救急車をもう一度携帯で呼びなさい」

 社長は、もう恍惚感を露わにして、女王様に従うように従順に応えた。

「仰せのようにいたしますわ。・・・様。今暫く、お待ちを願います」

 傍にいた人夫二人は、社長がどうなってしまったのだろうかと、心配そうな顔をしていた。サイレンの音が段々近くなって聞こえてきた。まじかに聞こえて来たと思ったら三分位で担架を持った救急隊員が二人汗をかきながらやって来た。早速倫一の腕を取り脈拍を測り始めて直ぐに、首を横に振った。

「もう駄目なの。助からないの」

「残念ですが、終わりですせっ」

 沙世の哭く声が社長には空しく聞こえてきた。同時に、社長はしてやったりと思った。

(上手すると女王様は、儂の物に成る。ここで今後の事を真心を以て遣ってやり、女王様に恩を売っておけば好い)

 欲は欲でも沙世や倫一とは違った色欲に溺れた人間がここにも一人いた。しかも、変態欲である。人の不幸をわが身と思って悲しんでくれる人がいれば、人の不幸を蜜の味という言葉通り、実践している未来世は、地獄六道にまっさかさまに落ちて行く輪廻の論理通りの人間もいるのである。

 社長は、顔見知りと想える救急隊員に、霊柩車を呼ぶように頼んだ。

「小林病院の先生には、儂言っとくからなぁ」

 倫一の死体を積んだ霊柩車は「桐小田土建」を目指して走って行った。会社に着くと会社の裏にある自宅に倫一の死体を運ぶように出てきた人夫達に命令をした。

「早う和室に、布団を敷いておいてや。他の者は、この人を早う。運ばんかいな」

 男性には強く女性には弱い社長の姿を見て沙世は、面白い人間であると興味を持った。

皮肉なもので社長の家で仮通夜をやって枕教を唱える為に来たお坊さんは、弘川寺の住職であった。考え方を変えれば弘川寺で死んでしまったのだから、弘川寺の住職が、枕経を唱えるのは当然であるともいえるのだが、縁というものの不思議さを沙世は感じてならなかった。

東京から呼んだ倫一の夫人の前でも怯むことなく平然として、倫一の枕元に坐り挨拶をした。倫一の夫人は沙世とは一言も喋らず、涙ぐんだ眼をハンカチで押さえて唯、一礼をしただけであった。

「仮通夜は、儂のとこでやらせてもろいましたが、葬儀をしなければあかん。御遺体を如何して運んだらよろしいでしゃろ」

社長は、目を細め悲しそうな顔をして夫人に聞いた。

「初めての事ですので、気が動転しています。如何したら一番よいのでしょうか?」

 社長は、頷きながら自分の家で葬儀をやってもかまわないという様な事を話していた。

「東京まで御遺体をお運びするのは大変でっせ。宜しければ儂とこで密葬を済ませて御遺骨にして東京に奥様が、自分で持って行き改めて東京で本葬儀を営めばよろしいでっしゃろ」

 五十年以上生きてきた社長である。世俗の事は周知している。適切な意見であると沙世は御尤もであると思った。

「奥様。そうして戴けるならそうして貰えば良いでしょう。ここの社長は好い人ですから任せてやればきちんと遣ってくれますよ。ねぇー社長さん」

 そう言って沙世は流し目で社長の顔を見た。社長は、身震いがするのを感じて沙世の言葉に直ぐに反応した。

「儂に任せておけばいいでしゃろ。恥は掻かせません」

 倫一夫人が、逡巡している様子なので沙世は夫人に決断を即すように話した。

「仮通夜はここですることが佛には一番よい事でしょう。研究の為に河内まで来て研究のテーマである織田信長の軍資金と西行の事を西行終焉の地である弘川寺で発掘調査していての死です。教授のお気持ちは未だ弘川寺にあるのでないでしょうか」

 夫人は、奥歯をかみしめていて涙を押えていたが、意を決したかのように応えた。

「わかりました。奈良さんの言う通りです。学究一筋に生きた人です。学究の為に、この地で命を落としたのですから、この地で仮通夜をやって遣れば本望でしょう」

「そしたら明日でも葬儀をしたいと思いまんねん。明日は、大安でなければ宜しおまんな」

「迷信や占いを信じない人でしたから、六耀に拘る必要はありません」

「大学で教授をしているような人は、迷信や占いは信じませんよ。ねぇ奥様」

 社長にとって葬儀をすることぐらいお手の物である。明日の葬儀開始時間だけ決めれば後は社員に命令をしておけばすべての段取りはしてくれる。となると今夜。沙世を何処に泊まらせればよいか考えるしかない。女王様のお気に入りとなる様なホテルは何処にあったか思い出していた。

「奥様。夜も遅く明日の事もありますのでそろそろお休みになっては如何でしゃろ。お泊りになるホテルは儂どもでご用意させてもろいました」

「社長さん。何から何まで御厄介になりまして感謝をしております。もう少し故人と一緒に居たいと思うので御手数ですが今暫くここにいさせてください」

「好いですわ。では奈良さんはどうしますので・・・」

「私がいたのでは、教授と奥様が二人きりに慣れません。気を利かせるのが常識でしょう」

 社長は嬉しくてしょうがない顔をして沙世に言った。

「生駒山の麓に、良いホテルがありまんがな。そこではどうでしゃろ」

 社長の腹の中を見通している沙世は、きつい口調で、女王様気取りで社長に命令した。

「不潔なのは厭だわ。清潔な好いホテルを用意して・・・」

 言葉のSМプレーは既に始まっていた。

 社員に倫一の夫人の事を何処どこのホテルに泊まってもらい夫人が帰る時間が来たら送って行くように言い付けそれから沙世の方を見て立ち上がった。

沙世は、倫一夫人に挨拶をして社長の後ろについて行った。沙世はドライな女性である。倫一とセックスが出来ない現実を乗り越え信長の軍資金が無い事実をも乗り越えるのには、この社長が必要であると思った。会社もかなりの規模であるし裏にあった家も新しくて相当大きい。М姓の性格であるから自分の言う事を全面的に聞いてくれると思った。

(それもありだね・・・)

 社長の運転する車に、揺られながら考えていた。果たして倫一さんと不倫までして幻でしか過ぎなかった信長の軍資金を探して狂奔していた自分は何であったのだろうかと、女性にとって幸福とはどんな事であるのか、幸福と想えることが破れてみて初めて守之が何時か言った。人にとって宝とは金銀財宝ではないと思うよと言った事が納得できた。

「着きましたがな。女王様」

 我に返った沙世は、社長に優しい口調で言った。

「貴方。部屋まで案内してよ」

 度胆を抜かれたような顔をして社長は満面に笑みを湛えた。優しく言葉をかけて貰った後に、きつい言葉や酷く苛められるとその落差大きいだけに快感が増幅するからである。セックスをするのに、あれは駄目であるとか、これは良いだとか言う事は無い。やる同士で合意してやるならどうでもやってよいのだろう。動物であっても子孫繁殖の為に、本能的にセックスはやる。動物は、その種類により交合の仕方が違う。人間にしてもそうではないだろうか、性格や持って生まれた前世からの因縁で教養や見識を度外視して快楽を求めるのが人間である。

 部屋に入ってからの二人は凄かった。一晩中沙世と社長の鬩ぎあいが繰り返された。沙世は思惑通り完全に社長を支配下に置いた。女王様女王様と言われることは沙世にとり倫一と激しくセックスをしているより快感がある。況して、独身である社長の妻に成ろうと決めたのだから誰に遠慮をする事がない。今後は、日常生活でもイニシアチブを取りやって行けば沙世の持っている自尊心は保てると考えていた。